◇少し長い序章その3◇
~教え子たちのその後~

2008年度、ぼくの教え子たちは、李先生たちのために、お米の収益を義捐金にしたり、千羽鶴を作ったり、お手紙を書いたりしました。


そして、担任のぼくは、中国の友人を通して、それらの物が、李先生へ直接渡るように手配しました。
その中国の友人は、快諾し、「どんなことがあっても送り届けるよ」と言ってくれました。
二人とも言ったことは必ず実行してくれる信頼感の篤い人たちです。
ぼくへの連絡でも、「確実に渡るように手配したよ!」と言ってくれました。
しかし、その後、李先生たちからは、何の返事もリアクションもないまま、ぼくの教え子たちは小学校の卒業をむかえました。

それから、5年ほどたち、ぼくが、針小学校から転出する時には集まってくれて、お別れ会をしてくれたりしました。
その時も、「李先生たち元気にしてるかな」という話題にはなりましたが、
「大丈夫!みんなの真心は、絶対に届いてるよ」
と、答えるのが精一杯でした。

それから、さらに、数年が経過しました。
教え子たちは、小学校を卒業し、中学、高校、大学・社会人へと成長していきました。

2015年頃だったと思います。
李先生にお手紙を送って7,8年くらい経った頃だと思います。
ぼくの記憶の中にも、李先生が消そうになっていた頃、上のような、関口知宏さんが、中国鉄道の旅に高校生とともに出かける旅番組を見ました。


関口知宏さんは、旅の途中の中国のホテルで、ぼくたちが教え子と2008年に見た「李先生と30人の子どもたち」を高校生に見せていました。

感極まって、泣き出す高校生もいました。
高校生たちは、その番組を通して、四川大地震や李先生や30人の子どもたちのことを充分に学習しました。
そして、次の日、実際に、李先生たちに会いに行くのです。

四川省・紅白鎮に向かっています。

まだ、所々、大地震の傷跡が残っています。

李先生が、高校生を出迎えます。

李先生は、高校生との対談の中で、当時のことを思い起こしています。
2008年当時より苦しみをストレートに吐露できるようになっています。

日中関係が、あまり良くない頃だったので、日本と中国はもっと、仲良くするべきだということを言っています。
災害も戦争も人を不幸にすると言っています。

その、最後の場面で、高校生の一人が
「李先生がそんなに強くいられたのはなぜですか」
という質問をした時、下のような李先生の言葉が聞かれるのです。

李先生は、
「遠い所からでも、気にかけてくれている人がいると思うと、力が湧いてくる」
と、言っています。

そして、取り出したのが、どこかで見覚えのある、茶封筒だったのです。

画面に現れたのは、ぼくの教え子ATさんのお手紙でした。
数年前に李先生たちに書いたあのお手紙だったのです。
ぼくは、正直、びっくり仰天です。
届いていたことにびっくりではありません。
今の今まで大切に保管してくれていたということにです。
さらに、李先生にとって、大きな心の支えになっていたということを知ったからです。

こちらは、MMさんの手紙です。
李先生が、何年もの間、ずっと子どもたちの手紙を持っていてくれたことが、涙が出るくらい嬉しかったです。

ぼくが書いた封筒の表紙ですが、李先生の「李」の字が、季節の「季」になっていることも、情けないですが、懐かしくて恥ずかしいですが、感無量です。

高校生たちとお別れする時も、ずっと、大事そうに抱えてくれていたことにも、感動しました。

最後に、李先生がその後、男の子を無事、出産したことも紹介されました。
ぼくは、心の中で「おめでとうございます!」と叫びました。
その番組が、放映された後、当時の教え子の中で見ていた人が結構いたので、情報がみんなに共有され、
「先生、やっぱり届いてたね」
「李先生にいろいろ贈ってよかったね」
「わたしたちのお手紙、大事にしてくれてたね」
「新しい赤ちゃんできてたね。本当によかったね」
と、たくさんのメールのやりとりをしたのを覚えています。
以上、ぼくの教え子と李先生と四川大地震の話でした。
その話を、2018年4月、蘭州旅行に出かけた帰りの高速鉄道の中で、3人(ぼく、TAさん、YAさん)でしていました。
そんな話の中、いきなり、YAさんが、涙ぐんだ声で
「宮田さんを李先生に合わせます」
「宮田さんは、李先生に会うべきです」
「李先生も宮田さんに会いたがっているはずです」
「ぼくが、皆さんを成都に連れて行きます」
と言ってくれたのです。
(YAさんの紹介やそのあたりの詳細などは、こちらをクリックしてください)
結論から言います。
蘭州旅から2か月後の6月、元軍人のYAさんは、李先生たちに連絡をとってくれて、段取りを全て整えてくれて、ぼくたちを、四川省に案内してくれたのです。
次回から、ようやく、四川・成都の旅の紹介に入れます。
長く複雑な序章で申し訳ありませんでした。
次回からは、旅ブログらしく、パンダや元祖麻婆豆腐、もちろん李先生との初対面など紹介する予定です。
(第3話、終わりです)
(第4話は、「まずは成都へ」です)