DAY2:2019年9月30日(日)その2
~どうして、ホテルに戻れないの?~

タシケントで一番の市場(バザール)「チョルスー」で昼間からビールを飲んで、すっかり、いい気持ちです。
サマルカンド行きの鉄道チケットも買えたし、乗り場も確認済みです。
タシケント観光もそこそこに、ホテルに帰って小休止をしようと思いました。
少しだけ、チョルスーのバザールを見学した後、「チョルスー駅」から地下鉄に乗りました。

ホテルがあるのは、「チョルスー駅」から4つ目の「コスモナウトラル駅」です。(と思いこんでいました)

写真にある「コスモナウトラル駅」で降りました。
駅から3分くらいでホテルに到着する予定です。
今朝、この駅から地下鉄に乗っているので、簡単にホテルに辿り着けるはずです。
全く、何の心配もありません。
今朝、B口から地下鉄に入っていったのを覚えていました。
だから、出る時も、当然、B口から出ました。
幹線道路を渡って、細い路地を右折すれば、ホテルの通りに出られるはずです。
ところが、そんな細い路地がありません。
「なんか、景色が違うなあ」
とは思いましたが、きっと、B口じゃなくA口だったんだなと考え、地下鉄駅まで戻って、今度はA口から出てみました。
こちらも、全然、朝とは違う景色です。
おかしいとは思いましたが、他に出口があるに違いないと思い、もう一度、地下鉄駅に戻り、確認しました。
しかし、出口は、AとBの二つしかありません。
やはり、記憶通りB口だと思って、再び、B口から出て、慎重にあたりを見回しながら、進みましたが、全くホテルには辿り着けません。
「キツネにつままれる」とは、こんな時に使う言葉だと実感しました。
もうこの頃には、ビールの酔いは、完全に覚めていました。

~人々の優しさに感動!~
その後は、何人もの人に、「ここに行きたい」と言って、ホテルの名前が書いてある紙メモを見せました。
ほとんどの人は、友好的な人々でした。
困っている日本人に親切にしてあげようという気持ちが感じられて、心が温かくなりました。
中には、「わたし、日本人大好きなの」と言って、30分も一緒に歩き回ってくれた若い女性もいました。
ウズベキスタンでは、ほとんど日本人には会いませんでしたが、そんな日本とはかけ離れた、この国でも「日本人」というプラスのイメージを持ってくれている人がいると思うと、何だかとてもうれしい気分になりました。

~タクシー運転手のおじいさんとの珍道中~
何人もの人のお世話になり、共通していたのは
「そんなアパートは見たことがないよ」
「この近くではないと思う」
ということでした。
地元の人が、これだけ一生懸命探してくれて見つからないのだから、最後の手段は、タクシーに乗るしかないと考えました。
歩き過ぎてヘトヘトになっていたというのも理由にあります。
メモ紙を見せて乗せてくれたのは、かなりの高齢の男性ドライバーでした。
乗ってから気づいたのですが、英語が全くできません。
もちろん、日本語もできません。
母語のウズベク語と昔習ったロシア語以外はできないようです。
ヤバいと思ったのは、「STATION」という英単語すら分からなかった時です。
本当に全く英語ができないのです。
だから、ぼくも英語を使う必要はありません。
日本語でも英語でも通じないのは同じですから、日本語でしゃべることにしました。
タクシーのおじいちゃんとぼくの会話?は、ウズベク語と日本語です。
でも、人間って不思議なもので、気持ちが通じ合えば、言葉が通じなくても何とかなるものですね。
たった1枚のメモ紙を頼りにタクシーのおじいちゃんは見つけてくれたのです。
そのおじいちゃんドライバーは、タシケントの町中でどれだけの人に頭を下げて聞いてくれたことか。
辿り着けたときには、本当に感激して、おじいちゃんとハグで感謝の気持ちを表したくらいです。
うれしかったので、明日のタシケント南駅への運転もお願いしてしまいました。
「明日の朝、7時にここで」と約束して、別れました。
もちろん、その約束を理解してもらうにも、相当な時間と労力がかかりましたが、、、

~ホテルが見つからなかった理由~
なぜ、ホテルが見つからなかったのかというと、一言で言えば
「朝、乗った地下鉄駅が「コスモナウトラル駅」ではなかった」
ということです。

朝乗った駅は、「アイベック駅」だったのです。
「コスモナウトラル駅」の隣の駅です。
だから、「コスモナウトラル駅」の周辺を探しても、ホテルは見つからないはずです。
もう少し早く気付けば、こんな騒動にならずに済んだと思います。
大失態です。
サマルカンドの旅なのに、サマルカンドへ着く前に、多くの予期せぬ事態が巻き起こる旅です。
こんなことで、無事、サマルカンドへ辿り着けるのでしょうか?
不安ですが、いよいよ、明日は、念願のサマルカンドです。
ゆっくり眠ってサマルカンドの夢でも見ます。

(第5話:終わりです)
(第6話:「ようやく、サマルカンドへ」です)
