DAY5:2019年10月3日(水)その1

~「アミール・ティムール廟」(「グル・アミール廟」)へ~
いよいよ、観光ができる最後の日になりました。
今日は、午前中「グル・アミール廟(びょう)」と呼ばれている「アミール・ティムール廟」に行こうと思います。

「アミール・ティムール廟」は、地図で見ると、旧市街と新市街のちょうど繋ぎ目のような位置にあります。
ホテルからレギスタン通りに出て、バスに乗ろうと思いました。
でも、なかなかバスが来ないので、目的地に向かって歩いているうちに、「アミール・ティムール廟」に行く左折道路に来てしまいました。
45分は歩いたと思います。


「アミール・ティムール廟」の入口看板です。

「アミール・ティムール廟」は、読んで字の如しで、アミール・ティムールさんの霊廟です。
しかし、アミール・ティムールさんの息子や教師たちも同一建築物に祀(まつ)られているということで、正式には「支配者の墓」という意味の「グル・アミール廟」というのだそうです。
ここでは、ややこしいので、「アミール・ティムール廟」で統一したいと思います。

入口の門の天井です。
豪華な大理石です。

サマルカンドの英雄「アミール・ティムール」さんは、このブログで何度も名前が登場しましたが、肖像画での登場は初めてです。
大変威厳のある顔立ちです。
アミールさんは、1336年生まれ、1403年没です。
言わずと知れた「ティムール帝国の建国者」です。
14世紀にユーラシアを平定しました。
最大勢力は、モンゴル帝国の半分にまで達したと言われています。
アミールさんは、サマルカンドをティムール帝国の都に定めました。
そして、モンゴル帝国により壊された「アフラシャブの丘」にあった都の機能を、全て現在の位置に移し、都造りを1から始めました。
要するに、現在あるサマルカンドの礎(いしずえ)を作り上げた最大の功労者です。

およそ3kgの黄金が使われたと言われている墓室です。

墓室の内部は、金ぴかです。
余談ですが、アムール・ティムールさんは、死ぬ間際、
「墓は生まれ故郷のシャフリサーブスに」
「名前を刻んだ石だけを墓標にせよ」
と、部下に命じ、ぜいたくを戒めたと言われています。
英雄の定めか、その両方が叶(かな)えられることはありませんでした。
サマルカンドの人々は、アミールさんの死を悲しみ、このような荘厳な霊廟を作ったと言われています。
その逸話を聞いただけでも、人々の尊敬を集めるに足る人物だと思います。
この金ぴかは、決して、アミール・ティムールさんの本意ではないということを強調しておきます。
決して、自らの権威や財力を誇示するものではないのです。

中央の黒緑色の直方体が、アミール・ティムールさんの棺です。
棺は、軟玉で造られています。
その周りを取り囲むように、息子や孫、ひ孫、アミール・ティムールさんの教師などの棺が置かれています。
実際の亡骸(なきがら)は、同じ配置でこの地下3mの所に安置されています。

再び余談ですが、1941年、ソ連の学術組織が、地下3mのアミールさんの墓を開け、亡骸(なきがら)を調査したところ、アミールさんの足が不自由だったことが分かったそうです。
アミールさんは、1403年の中国遠征で戦死しましたが、その時の足の負傷が死の原因だったのではないかという仮説が改めて有力視されるようになりました。
アミールさんは、上杉謙信(ぼくの郷土の英雄です)のように、大将自ら前線に出て戦ったのでしょうか?
そんな、妄想をも生む逸話です。

観光客ばかりではなく、地元の人々も手を合わせに来ています。


まばゆいばかりの黄金に驚いています。

独特の青の文様が際立つドームです。

自撮りにうってつけの場所を発見して、有頂天です。


よほど、この建物が気に入ったと見えて、何枚もの自撮り写真があります。

中庭から廟内に入る際の門です。
アミールさんの好きな青で統一された荘厳な門です。

~霊の棲み処(すみか)「ルハバッド廟」~

写真は「アミール・ティムール廟」の真北にある「ルハバッド廟」です。
建物自体は特筆することはないのですが「ルハバッド」という言葉が、意味深(いみしん)だったので載せてみました。
「ルハバッド」とは、「霊の棲み処(すみか)」という意味です。
「ルハバッド廟」には、霊能力者や預言者ムハンマドの遺髪が祀(まつ)られています。
北方面は、日本的にいう「鬼門(きもん)」にあたる場所なので、このような霊廟をここに建てたのではないでしょうか。
アミールさんたちが、安らかに死後の世界で暮らせるようにという願いが込められた建物のような気がします。
もしそうだとしたら、当時のサマルカンドの人々のアミール・ティムールさんへの深い敬慕の念を感じます。
このあとは、「アミール・ティムール像」を見に行こうと思います。
(第15話、終わりです)
(第16話は、「アミール・ティムール像へ」です)
