シリーズ16の1<トルコ・イスタンブル編>NO9

DAY4:2023年7月30日(日)その3

~アジア地区から旧市街に戻ったはずなのに、、~

アジア地区では、埠頭で海を眺めたり、レトロなトラムに乗ったり(トラムの循環路線を2周も乗ってしまいました)、食べきれないくらいのローカルなトルコ料理を食べたりしました。
すごく楽しい時間でしたが、アジア地区だけで今日の観光を終えるわけにはいきません。
何といっても、今日は、トルコ観光最終日ですから。
午後1時頃、フェリーに乗り、ヨーロッパサイドに戻ることにしました。

「カドキョイ埠頭」から、朝、乗った「エミノニュ」までのフェリーに間違いなく乗ったはずです。
全く疑いもありませんでした。

20分程度フェリーに乗っていました。
地図の紫色の「エミノニュ埠頭」の「エヴリヤ・チェレビー桟橋」に着いたはずです。
ヨーロッパサイドの旧市街に着いたはずです。
ここから乗ったのですから、、、
フェリーから降りた時に、周りの様子に何か違和感がありましたが、思いこみとは恐ろしいもので、何の疑いも持ちませんでした。

上の地図をご覧ください。
紫色の地点にいるので、ガラタ橋の地下通路をくぐると、サバサンドを売っている屋台船が見えるはずです。
そして、その屋台船から、振り返ると「エジプシャンバザール」や「イェニ・ジャーミィー」が見えるはずです。

ところが、サバサンド屋さんが、跡形(あとかた)もなく消えているのです。
5年前には、確かにありました。
その当時は、多くの観光客でにぎわっていました。
ぼく自身も5年前には、サバサンドを買って食べました。
それなのに、その屋台船が、全く跡形もなく消え去っているのです。

後ろを振り返ると、あるはずの「エジプシャンバザール」や「イェニ・ジャーミィー」も見えないのです。
道路に出られないように太い銀パイプが張り巡らされ「エジプシャンバザール」や「イェニ・ジャーミィー」など、あるかないかも分からないほど遠くが見えません。

この期に及んで、まだ、ぼくは、違う所にいるということに気付かず、
「5年前と変わったな」
「サバサンドの船は、衛生的に問題が起こって、一斉に撤去されたに違いない」
と、Sくんにしたり顔で話していたのです。

~ダイブ少年に遭遇!~

サバサンドの屋台船が1隻もないので、海の上には何の障害物はありません。
少年たちの格好の水遊び場になっていました。
(なっていたと勘違いしていただけですが、、)

いきなり海から上がってきた少年に出くわしました。
ぼくは、かなり、びっくりしました。
こんな所で海水浴ができるなどとは思ってもいませんからね。

上がってきた少年は、海に向かって飛び込もうとしています。

なかなかダイナミックなフォームです。

見事ダイブ成功です。

次は、バク宙をするようです。

陸で見ていた観光客は、歓声をあげています。

見事にバク宙を決めました。

観光客相手に小銭を稼ぐ少年たちかと思いましたが、陸に上がっても、お金をせびる様子はなく、ぼくの思い違いでした。(何となくホッとしました)
純粋に水遊びを楽しむ少年たちでした。

~年配者も海に~

少年だけかと思いきや、年配者も海にいました。

最初は、海水浴かと思いました。

ところが、潜っては何か拾って、陸に向かって投げています。

よく見ると、ムール貝です。
年配者たちは、「お仕事」で海に潜っていたのです。

ムール貝は、街で写真のように、レモンと一緒に売られています。
地元の人々は、その場でレモンを絞って、立ち食いをします。
よほど旨いのか、食べている人は、やめられない様子です。
どの人も10個以上は食べていました。

ぼくたちは、もしものことを考えて食べることは控えました。
だから、残念ながら値段は分かりません。
できれば、一ついくらで売られているのか、知りたかったです。
くわえて、あの海で頑張っていた年配者は、ムール貝一つとると、いくらくらいの稼ぎになるのか知りたかったです。
勇気がなく、聞くことができませんでしたが、、

ムール貝が、あのように、ぼくたちと同じくらいの年代の人たちが、一つ一つ、海に潜りながら収獲されていることを知って、何とも複雑な思いになりました。

~疲れ果てている時に~

話が、変な方向に行ってしまいました。
話を戻します。

ぼくたちは、まだ、ヨーロッパサイドの旧市街側にいると思いこんでいます。
だから、道路を乗り越えて「エジプシャンバザール」や「イェニ・ジャーミィー」を探し回りました。
しかし、歩いても歩いても全く、見つかる気配がありません。
34℃の炎天下です。
徐々に疲労感が増してきます。

疲れ果てて道路脇の木陰で休んでいる時です。
下の写真の初老の男性が、声をかけてきました。

男性:「何をしている?」
ぼく:「エジプシャンバザールを探しています」
男性:「エジプシャンバザール?ここにはないぞ!」
ぼく:「移動したのですか?」
男性:「移動はしていない。ここではなく、ガラタ橋の向こう岸だ!」

と、ガラタ橋の対岸を、指さすではありませんか。

この説明で、何となく今いる地点が、旧市街ではなく新市街にいるのではないかという気持ちになってきました。

その後、せっかく知り合ったのだから、平和交流に参加してもらおうと、折り鶴を折ってもらったり、メッセージを書いてもらったりしました。
そのメッセージを見ながら、ぼくは、
「これはなんて書いてあるのですか?」
と質問した時、
「職業だ。タクシーの運転手と書いてある」
と答えが返ってきました。
それを聞いた瞬間、ぼくは、間違っていることを受け入れざる得ないと思いました。
何といっても、タクシーの運転手ですからね。
道や観光地は詳しいですよね。

4行目に、トルコ語で、「タクシーの運転手」と書いてあります。(書いてあると思います)

~軌道修正!ガラタ橋を越えて、、~

タクシーの運転手の話を信じて、ガラタ橋を越えて、向こう岸に行ってみることにしました。

T1トラムに乗り、ガラタ橋を越えると、ようやく、馴染みの景色に出会えました。

ガラタ橋の上には、たくさんの釣り人がいるではありませんか。

サバサンドを売る屋台船もちゃんとあるではありませんか。

振り返れば、「エジプシャンバザール」や「イェニ・ジャーミィー」も見えるではありませんか。

やはり、今まで旧市街だと思っていたところは、新市街だったのです。

「カドキョイ」で乗ったフェリーの行き先が、何かの間違いで「新市街」の方に行ってしまったのです。
おそらく、既に着岸していたフェリーに急いで乗ったので、次の便の行き先と間違えて乗り込んだのだと思います。
上の地図の黄色路線のフェリーに乗ったのだと思われます。

拡大地図で見ると、黄色印の「トゥルヨル桟橋」に降りたのだと思われます。
(ほぼ間違いないです)
フェリーを降りた後、地下通路を歩いてガラタ橋をくぐり、「カラキョイ桟橋」のあたりをほっつき歩いていたのだと思われます。
サバサンド屋台船などあるはずがないですよね。

今は、冷静に何が起こったのか説明できますが、その時は、本当にキツネにつままれたような気持ちでした。
でも、おかげで、ダイブする少年やムール貝を採る初老の男性、声をかけてくれたタクシーの運転手のおじさんたちに出会えたのだと思うと、なかなか、得難(えがた)い体験をしたなあと思っています。

「アクシデントのない旅は、旅じゃない」

をまさに実体験したと言えます。
(若干、負け惜しみに聞こえますが、、)

以後、思い込みは慎み、念には念を入れて行動しようと反省し、少しは慎重に行動するようになったと思います。


<参考までに>
SIMカードを入れ替えてスマホが使えるようになっているのではないか
・スマホが使えれば地図アプリで位置が確認できるのではないか
・現在位置確認ができれば、こんな失敗はしないのではないか
とお考えの方もいると思います。
全くその通りです。
しかし、残念ながら、ぼくたちが旅前に購入したSIMカードは、トルコには対応していないタイプです。
だから、GPSの恩恵を受けることはできなかったのです。
ちなみに、SIMカードについては、この後いろいろトラブルが待っています。
また後日、ご紹介します。

(第9話、終わりです)

(第10話は、「Sくんようやくサバサンドを」「イスティクラール通りで火事に遭遇!」です)

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