シリーズ16の7<チェコ・プラハ編>NO11
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DAY26:2023年8月21日(月)その2
~スパニッシュ・シナゴーグへ~
プラハの「ユダヤ人地区」に来ています。

「ピンカス・シナゴーグ」から「ユダヤ人墓地」「クラウセン・シナゴーグ」「儀式の家」と回りました。
共通入場券を購入しているので、一館一館、料金を払う手間がないのでスムーズに回れます。

次は、「スパニッシュ・シナゴーグ」に行こうと思います。
地図では「スペイン・シナゴーグ」となっていますが、当時をリアルに思い出すために、このブログでは「スパニッシュ・シナゴーグ」で表記させてもらいます。

「スパニッシュ・シナゴーグ」は、ユダヤ人地区の東の端にあります。
外観が、スペインのアルハンブラ宮殿に似ているところから「スパニッシュ・シナゴーグ」と呼ばれるようになりました。

プラハのシナゴーグの中では、最も豪華で観光客の目を引くという評判のシナゴーグです。

確かに、黄金色系、青色系、ピンク色系などバランスのとれた非常に美しいシナゴーグです。
模様も星形、四角形、円形、ドット系など様々な文様を組み合わせてあるので、非常に多様多彩ですが、全体的にはしっかりとバランスがとれて落ち着いた印象を与えています。

ユダヤ教のシンボル「ダビデの星」を強調し過ぎることなく配置している所も、お洒落感を高めています。

ドームの天井からの採光も幻想的です。
他の施設よりも、観光客が多く、「ユダヤ人地区」の目玉の観光地という風格があります。

天井の明かり窓にもさり気なく「ダビデの星」が配置されています。
よく見ると、「ダビデの星」を構成している2つの正三角形の6つの頂角にはピンク色でアクセントが施され、非常に小粋(こいき)な感じがします。

天井から吊り下げられている、シャンデリアは「ダビデの星」が骨格になっていて、6つの頂角にランプが配置されています。
細部にまでこだわりが感じられる素晴らしいシナゴーグです。

ステンドグラスにも、細かな細工が見られます。
キリスト教会のような度肝(どぎも)を抜くような派手さはありませんが、しっとりと落ち着いた中に静かな美しさを秘めています。
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~またまた、不覚にも居眠りを~
本当に素晴らしいシナゴーグです。
見る者の心を落ち着かせ、心身ともに癒される空間です。
これこそが宗教的な幻惑(げんわく)の空間かもしれません。
ぼくは、このシナゴーグが非常に気に入りました。
一通り館内を見て回った後、礼拝所の椅子に腰かけて、静寂(せいじゃく)を楽しむことにしました。
(要するに疲れたので一休みしたかったということです)
そして、この空間にずっと身を置きたくなるような気持ちになりました。
(要するに、眠くなってきたということです)
そのうち、昼に飲んだ3杯の生ビールが効いてきたのか、熟睡状態になってしまったようです。
(要するに、酔っぱらいがベンチでうたた寝を始めてしまったということです)
どれだけ、居眠りしたかは分かりませんが、Sくんが、
「宮田、そろそろ他の施設に行かないと、時間なくなるぞ」
と言って起こしてくれました。
ぼくは、2階も見たかったので、
「じゃあ、2階見てから、動こうぜ」
と言って重い腰を上げました。
~2階の観光途中、いきなり、、、~
2階に上ると、下から見上げていたステンドグラスが目の前で見ることができます。

ぼくたちは、ステンドグラスの美しさに惹かれ、1枚1枚丹念に見入りました。
もう他の施設に行こうという気持ちはどこかへ飛んでいます。

ぼくは、この旅の出発前、娘から
「ステンドグラスたくさん写真撮ってきて」
とお願いされていたのを思い出しました。

じっくりとステンドグラスを見ながら、写真を撮っていました。

Sくんに
「ユダヤ教のステンドグラスって、キリスト教の教会とだいぶ違うな。
人間とか生物(いきもの)とかは全然描かれてないよな」
と言われました。

ぼくは、
「ユダヤ教もイスラム教と一緒で、偶像崇拝禁止だから、、、」
と知ったかぶりのウンチクを語りだそうとしました。
2人とも高校の社会科の教員免許まで持っていて知識量はそう変わりはないのに、どうしても、こういう場面では、ぼくが知ったかぶりをしてしまいます。
「知ったかぶりはバカのもと」です。
ぼくがウンチクを語り出そうとした時、階下の様子が何だか、ざわざわし出したのを感じ、目線を階下に落としました。
~理由不明の締め出し命令が、、~
階下の観光客が、一様に出口方向に動き出していたのです。
しばらくすると、館内スタッフが2階にも上がってきて、
「緊急事態です。すぐに外に出てください」
とぼくたちに聞き取りやすい英語で言いました。
そのスッタフは、慌てているのにそれを悟られないようにわざと冷静を努めているような表情です。
ぼくは、
「何があったのか教えてほしい」
とお願いしましたが、
スタッフは、
「緊急事態です。理由は教えることができません。とにかく、早く外に出てください」
と繰り返すばかりです。
ぼくは、
「入館料をしっかり払っているのに、理由も分からずに退場させるのは納得がいかない」
と食い下がりましたが、シナゴーグにいるのは、ぼくたちだけになっていることに気付き、仕方なく外に出ることにしました。
スタッフは、ぼくたちが確実に出口から出るのを確認するかのように、急ぎ足で出口までついてきました。
~仕方なく「文化博物館」へ~
どんな事情かは分かりませんが、締め出しをくらってしまっては、「スパニッシュ・シナゴーグ」にいることはできません。
もう少し、「スパニッシュ・シナゴーグ」を観光したかった気持ちを抑えて、仕方なく、別の施設へ行くことにしました。

「スパニッシュ・シナゴーグ」の近くに「文化博物館」があったので、しばらくその施設で過ごすことにしました。
裏の小径(こみち)を歩くと2,3分程度で着く近さです。
時間があったら、もう一度「スパニッシュ・シナゴーグ」に行けるように、あまり遠くに行かないようにしました。

位置関係が分かる拡大地図です。

館内には、ユダヤ系の画家や芸術家の作品が多数展示してありました。

一つ一つ丹念に見ようと思いましたが、ほとんどがチェコ語なので、よく意味が分かりません。

館内は、プラハには珍しくエアコンが効いていました。
そして、部屋の片隅には、気持ちのよさそうなベンチが置いてありました。
ぼくは、休憩の続きがしたくなりました。
そして、そのベンチに座ろうと、背中のリュックを下ろそうとした時です。
ぼくは、とび上がるほどびっくりしました。
何と、背負っているだろうと思い込んでいたリュックがないのです。
「やばい!リュックがない。
どこかに置き忘れた!
スパニッシュ・シナゴーグに行くまでは絶対に背負っていたはず!
礼拝堂でリュック下したのを覚えてるから、、」
ドキドキする気持ちを抑えて、冷静になって考えようとしました。
「スパニッシュ・シナゴーグの礼拝堂だ!
足元に置きっぱなしにしてきた。
あそこの足元、暗闇だから分かりにくかったんだ」
こんな長い時間、リュックを背負っていないことに気付かないなんて、本当に間抜けです。
情けないです。
でもそんなことを言っている場合ではありません。
ぼくは、Sくんに
「ここにいてくれ!
とりに行ってくる。
すぐに戻って来る!」
とお願いして、さっき来た道を猛ダッシュで駆けて行きました。
~爆弾犯人?に~
「スパニッシュ・シナゴーグ」に戻って来ました。
戻ってみると、びっくり仰天!です。
「スパニッシュ・シナゴーグ」付近は、規制線(きせいせん)が張られ、警察関係者以外立ち入り禁止状態になっていました。
非常にものものしい雰囲気です。
この状態を見て、ようやくスパニッシュ・シナゴーグで退去命令が出た理由が分かってきました。
ぼくのリュックの中に爆弾が入っていると思われているに違いありません。
ぼくは、爆弾犯人になってしまうのでしょうか?
もちろん、ぼくのリュックの中には、爆弾などの危険物は全く入っていません。
疑われるものなども入っていません。
念のため、断言しておきます。
この旅、最大のピンチです。
無事、このピンチを抜け出すことができるのでしょうか?
(第11話、終わりです)
(第12話:「リュックを取り戻すために、、」です)
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