シリーズ17<「トラブル続出!恐山の旅」>NO11
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DAY3:2023年10月8日(日)その3
~「焼走り温泉」を目指して!~

青森市の郊外で大量のリンゴを買いました。
これで、青森県への未練はありません。
すでに、5時近くになっているので、当初の宿泊希望地「銀山温泉」は諦め、走るだけ走って、岩手県あたりのどこかの温泉に入り、野宿場所を見つけることにしました。
赤い警告ランプは、相変わらず、点いたままですが、整備士に診てもらったので、誰も気にしなくなりました。

走行中、Oくんが、次の条件に合致した温泉をネットで探し出しました。
条件①:温泉近くに野宿できるスペースと公共トイレがある
条件②:天然温泉で遅い時間まで日帰り客を受け入れている
条件③:岩手県内か宮城県内で高速道路から近い
その温泉は、「焼走り(やきばしり)温泉」です。
岩手山の山麓にあり、かなり山間の温泉のようです。
もちろん3人とも馴染みのない温泉です。

地図で調べると、その温泉は、「岩手焼走り国際交流村」の中にあるようです。
そして、その施設のすぐ近くに「野営場」という野宿場所が確かに存在します。
公共トイレもあるので、誰も反対意見はありません。
3人は、「焼走り温泉」を目指して車を走らせます。
~クマ目撃!~

東北自動車道「松尾八幡平IC」で降り、カーナビの指示通りに「焼走り温泉」に向かいます。
途中、スーパーかコンビニがあったら、夕食宴会用のアルコール類やつまみを買おうと思います。
しかし、岩手山の山麓あたりは、予想以上の山間僻地なので、なかなか見つかりません。
スーパーやコンビニどころか小さな商店さえありません。
見つけたのは、スーパーやコンビニではなく、何と2頭の熊でした。
熊の出没は、上の地図の赤色矢印地点です。

ぼくたちは、両脇が森林で街灯もほとんどない、真っ暗な道路を走行していました。
すると、道路左脇を黒い2つの塊が、かなりのスピードで車と同じ方向に動いているのを発見しました。
見ようによっては、ぼくたちの車から走って逃げているようにも見えます。

間違いなく、熊です。

大きさからすると、一頭は、親熊で、もう一頭は子熊のようです。
生息場所や姿形から「ツキノワグマ」だと考えられます。

ぼくたちの車が、追いつくのが分かったのか、突然、道路左脇に止まりました。

そして、2頭とも、脇の草むらに姿を消したのです。
その間、1分くらいの出来事です。
ぼくは、今まで、5回ほど野生の熊を目撃したことがあります。
20代から40代まで渓流釣りが趣味だったので、かなりの山奥まで岩魚を求めて分け入っていたからです。
同じ理由でOくんも2,3度目撃経験があります。
そのうち、1回は、Oくんと2人で山道を歩いていたところ、曲がり角の向こうからこちらに向かってかなりの大きさの熊が走って向かってきた経験があります。
その熊は、ぼくたちを発見すると、ピタリと立ち止まり、山道脇の崖を駆け上って逃げてくれたので、事なきを得ましたが、ぼくたちは、足が震えてしばらくは歩けませんでした。
そんな経験を積んでいるぼくたちでも、熊の目撃は、気味のいいものではありません。
3人は、
「いやぁ、ビビったな」
「さすが岩手!いる所には、いるなあ」
「今年は日本中、熊被害、たくさん出てるからな」
「逃げてくれて、とりあえずよかったな」
などと割と暢気(のんき)なことを言いあっていました。
この熊の出没が、この後の旅の明暗を左右するとは、この時は、誰も考えてはいませんでした。
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~天然温泉のはずが、、~

ようやく、「焼走り温泉」に到着しました。
なかなか、いい雰囲気の温泉です。

入浴前に、カメムシの注意喚起の情報が目に入りましたが、気にすることなく、温泉に浸かりました。(カメムシは、1匹もいませんでしたが、、)
3人は、
「なかなか、いい温泉だな」
「恐山温泉とは違って、全く硫黄臭はしないけど、さらさらとして疲れがとれる温泉だな」
「さすが、天然温泉。疲れた体に沁みるな」
などと満足気です。
ところが、、

入浴後、脱衣所から出る時に、上のような貼り紙を目にしてしまいました。
目を疑いましたが、書いてあるように、
ぼくたちが「天然温泉」だと思って入ったお湯は「ただのお湯」だったようです。
カメムシの情報は、目に入ったのに、温泉ポンプの故障の情報は3人とも目に入りませんでした。
料金を払う場所にも、脱衣所入口の前にも同様の張り紙があったのに、全く気付きませんでした。
3人が3人共です。
何とも情けないおじさんたちです。
でも、湯船に浸かって気持ちよかった感覚は、まぎれもない事実です。
それはそれで、仕方ないとあきらめるしかありません。
温泉に入り終わった時には、すでに、8時近くになっていました。
お腹(なか)はペコペコです。
風呂上がりなので、冷たいビールもクイっと飲みたいところです。
早く、食べ物やアルコール類が買えるお店を見つけて、テントを張って宴会を始めたい気分です。
さて、この後、3人は、どうなっていくのでしょうか?
(第11話、終わりです)
(第12話:「とうとう、車が、、」です)
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