DAY6:2012年8月23日(木)その1

~ある少年との出会い~
フェズ観光2日目です。
イコール、フェズ観光最終日です。
今日は、迷子覚悟で迷宮都市に突入しようと決意しています。
とりあえず、昨日通った「タラア・ケビーラ通り」を再び「カラウィン・モスク」まで行ってみました。

昨日は、行くだけで、中には入らなかった「カラウィン・モスク」に入りました。

「カラウィン・モスク」の内部です。↑
そこで、妙に、ぼくをチラチラと見る視線を感じました。
小学4年生くらいの少年です。
その少年は、ぼくと目が合うと、はにかみながら、片言の英語で声をかけてきました。
多くの観光客の中で、なぜ、ぼくが彼の「お眼鏡(おめがね)」にかなったのでしょうか?
自分では、全く分かりません。

その少年は、
「おじさん、どこに行くの?」
「行きたいところに連れて行くよ。」
「みんな道に迷うよ。道に迷わないように、ぼくが、ガイドをしてあげるよ。」
と、はにかみながらも結構、ひたむきに熱心にアピールしてきました。
警戒心が人一倍強いO君は、こんな時は決まって
「宮田、関わるなよ。後で、ぼったくられるに、決まってるぞ」
と、完全無視する派です。
逆にぼくは、ついつい、関わり合ってしまうタイプです。
「おじさんたち、お腹減っているから、美味しいお店を教えてよ」
と、その少年(以降、L君と呼びます)の出方を見ることにしました。
L君が、ぼくたちと関りを持ちたいと思う理由を知りたいと思ったからです。
一緒に食べるという行動で、少しは理解できると考えました。
ぼくは、L君なりに何か目的があるに決まっていると思いますが、その目的が、必ずしも、ぼくたちにマイナスに働くだけとは限らないので、ハエを追い払うみたいには、しない方がいいと、考えるタイプです。(そういう態度が、トルコの「ぼったくりバー事件」みたいなトラブルを起こすのだと思いますが、性格は、そう簡単には直せません)
~食堂でのL君の意外な態度~

とりあえず、L君の勧めるレストランで少し早い昼食を食べることにしました。
地元の人が食べる大衆的な食堂でした。
ぼくは、
「食べたいもの頼みなよ。おごってあげるから、遠慮はいらないよ」
と、言いましたが、何と意外なことに、
「ぼくは、食べないよ。ここで待ってるよ」
と、言って、出入り口の近くの椅子に座って、ぼくたちの食べ終わるのを待つと言うのです。「遠慮しないで、何か食べないか?お腹がいっぱいなら、何か飲むだけでもいいから」
と、言っても、頑(がん)として食べたり、飲んだりはしませんでした。
なぜ、頑(かたく)なに、食事を断ったのかは、いまだに、はっきりとしたことは、分かりません。
でも、そのけじめある態度で、ぼくたちは、しつこい「たかり」やずるい「だまし」ではないのではないか、という気持ちになったことは、間違いありません。
要するに、一言で言うなら、この子を信用してもいいのかなという気持ちになったということです。
世界を歩いていると、「カモ」を見つけたら、1円でも多く「搾(しぼ)り取ってやろう」、「騙(だま)し取ってやろう」という輩(やから)は、数多くいます。
L君は、そのような輩とは明らかに違うのです。
よくは分かりませんが、品があるのです。
品がない輩は、何でも好きな物を食べていいと言われると、食べないという選択は絶対にしません。
そこが、L君を信用したいと思った最大の理由です。
~L君と迷宮路地へ行く選択を~
ぼくとO君は、昼食をなるべく早くすませて、L君と迷宮路地に入っていくことにしました。
O君は、まだ、L君を心底、信じてはいません。
「宮田、大丈夫か?変な所、連れて行かれるんじゃないか?」
などと、不安を口にします。
「でも、まあ、そうなったら、そうなったで、逃げればいいんじゃないか?」
「子どもだけならそんなに大きな危害は加えないよ。とにかく、暗がりと密室、複数の大人の男には気を付けようぜ」
と約束事を決めて、L君と3人の迷宮旅をすることになりました。
3人は、
これから、どんな関係になっていくのか、
どこに連れて行かれるのか、
L君とは、どんな少年で、
何がめあてだったのでしょうか?
(第15話 終わりです)
(第16話は、「L君の案内で、、」です)
