DAY8:3月31日(木)
~目標は神奈川県へ~
日付が、かわっても、ねぐらが見つかる気配すらありません。
深夜でも、Y君と交代しながらの、運転は続いています。
愛知県に入り、国道1号線に乗ってしまった頃には、すでにあきらめの気持ちが芽生えていました。
「こんな大都会に入ってしまえば、安心して寝られる場所なんてないよな」
まさしく、その予感通りでした。
行けども、行けども、高架の道路です。
今のように、「道の駅」なんて便利なものはありません。
静岡県に入ったあたりから、3人の目標は、明らかに変わりました。
「神奈川県に入れば、おれのアパートがある」
というO君の一言からです。
O君は、この旅の前に、ちょっとした交通違反を起こして、免許停止処分を受けていました。新潟市で、ぼくの90ccのバイクを原付だと思って乗ったところ、お巡りさんの職質にあって発覚してしまったのです。
ほんの5分間の乗車でした。
だから、この旅では、運転ができなかったのです。
その代わり、2人が運転している時には、O君が助手席でナビをしたり、いねむりの防止をしたりしてくれていました。
これだけ、運転が長くなると、運転手よりむしろ、O君の方に疲労が増してきています。
ぼくやY君は運転していない時には、後部座席でひっくり返って仮眠をとることができましたが、O君はずっと緊張し続けなければいけません。
「O君のためにも、早く、アパートにたどり着こう」という目標になりました。
神奈川県に入り、箱根を越えたあたりで既に、夜が明けてきたと思います。
あと少しです。

ぼくは、半分寝ながらの写真撮影になっています。
~完全徹夜で相模原まで~
O君のアパートは、相模原市です。
O君のアパートにたどり着いた時には、3人ともぐったりでした。
和歌山県から「魔の高見峠」を越え、約50時間のほぼぶっ通しのドライブでした。
3人はすぐに爆睡しました。
起きたころには、あたりは薄暗くなっていました。
そうです。すでに夕方です。
~3人での打ち上げ~
3人は、おなかを減らしていました。
O君行きつけの近所の餃子屋さんに出かけました。
腹いっぱい、バカでかい俵型の餃子を食べました。
もちろん、1日遅れの乾杯もやりました。
O君にとっては打ち上げです。
睡眠も十分とり、おなかも満たし、アルコールも入り、みんな大満足です。
そのころには、旅の中での苦しかったことも、全て楽しかった記憶に変わっていました。
3人とも満面の笑顔で旅の思い出を語り合っていました。
その晩も、O君のアパートで泊まりました。