DAY6:3月29日(火)その1
~土佐犬がぼくを~
朝方、寝ているぼくの頬に、ぬるま暖かい感触がしたので、目が覚めました。
「びっくり仰天」とはこんな時に使う言葉です。
薄目で見たぼくの目の前にはバカでかい土佐犬の顔があるではありませんか。
その土佐犬が、ぼくの頬をなめていたのです。
大声を出しそうになりましたが、土佐犬を刺激して噛みつかれでもしたら大事(おおごと)です。
ぼくは、寝袋に入っていて、手が外に出せないので、とっさの時に立つことも、防戦もできません。
襲ってきたら、せめて逃げるか蹴るかの防戦だけはしたいと思い、静かに静かに、寝袋の脇のファスナーを下ろしました。
そして、少しずつ、少しずつ土佐犬に背を向けました。
大きな賭けにでたのです。
~逆襲~
背を向けた位置から、勢いよく、犬の方に向き直って、両手を上げて
「うおー!」
と大声で叫びました。
おそらくすごい形相だったに違いありません。
「必死」とはこんな時に使う言葉だと思います。
土佐犬は、びっくりしてどこかに行ってくれました。
その声で、あとの2人は起き上がりました。
「すごいことになってたな」
O君は割と涼しい顔でそういうのです。
O君は、どうやらぼくと犬との駆け引きを見ていたらしいのです。
「何かすると興奮させるから、宮田のために、じっとしていたんだ」
と、思いやりのある大変ありがたい言葉をかけてもらいました。(笑)
ぼくは、少しムッとしましたが、大事(だいじ)には、至らなかったので、機嫌はすぐに直りました。
この時からです。
野宿の際の寝る位置をジャンケンで決めるようになったのは。

土佐犬に遭遇したスーパーの軒先です。
3人とも朝から疲れ切っているような様子です。

O君が
「この犬にちがいない」
と言って撮影した土佐犬です。
ねぐらの近くの人家に繋がれていました。
とにかく食われなくてよかったです。
ふー!
~高知観光へ~
気を取り直して、高知市内の観光に出かけました。
高知城と桂浜に行ったと思います。

高知城前です。
坂本龍馬さんの真似をしているのは、ぼくです。

桂浜の坂本龍馬さんの銅像前です。
大き過ぎて、ほとんど人間が写っていませんね(笑)
当時、坂本龍馬さんに、今ほどの特別な思いは、なかったと思います。
2,3年後、司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」を読んだことをきっかけに、熱烈な「龍馬ファン」になり、高知だけでなく長崎や京都などへ「龍馬追っかけの旅」を何度もするようになりました。
桂浜からは室戸岬に向かいました。
室戸岬でもトラブルが待ち受けています。