DAY3:1980年6月10日(水)
~津軽線で青森駅へ~
無人駅をお借りした手前、乗降客の迷惑にならないように、朝一番の列車よりも早く起きることにしていました。
おそらく、3人は、早起きして、早朝の列車で青森駅に向かったと思います。
「車は?」
と疑問に思われている方もいらっしゃると思いますが、車は無人駅に「放置」です。
当時は、そんなにいろいろ、うるさくなく、だれかの許可がなくとも、そんなことが許された時代です。
青函連絡船に車も載せられることは、調べて知ってはいましたが、料金が桁違いだったので、断念したのです。
車なしで函館に渡るだけなら、一人2000円くらいだったと思います。
~函館到着!~

函館駅前の写真です。
時計を見ると、4時35分くらいですね。
当時の青函連絡船の乗船時間を調べたら、乗船手続きを含めて約5時間と出ていました。
だから、青森駅から青函連絡船に乗ったのは、11時頃だと、推察できますね。
「蓬田駅」から青森駅まで「鈍行」で10駅くらいなので、早朝の列車に乗ったような気がするだけで、かなり遅くの列車だったのかもしれませんね。
~函館観光~
行く予定が全く、なかったわけなので、3人とも観光ガイド本などは当然持っていません。
3人の「函館」の知識を総合して、
①「五稜郭」
②「ハリストス正教会」
③「函館山で夜景」
④「イカソーメン」
4つに絞って、函館巡りをすることにしました。

函館の写真は、残念ながらこの五稜郭の1枚しかありません。
当時のことを思い出すと、今のように気軽に写真を撮る文化はありませんでした。
フィルムを買い、カメラの中に装着して、決められた枚数を撮った後、
カメラ屋さんに現像に出し、気に入った物だけプリントしてもらうという
割と面倒な作業が連続してありました。
もちろん、1枚1枚にコストがかかりました。
だから、失敗覚悟で夜景をとるなんてことは
「もったいないこと」でした。
そんなわけで、写真はないですが、函館の夜景は、
40数年たった今でもはっきりと目に焼き付いています。
絶景でした。(月並みな表現ですいません)
ハリストス正教会も、既に薄暗くなっていたので、
同じ理由で写真がないのだと思います。
~函館の赤ちょうちんで泥酔~
函館巡りの④は「イカソーメン」です。
帰りの青函連絡船に乗りやすいように、函館駅の近くの「赤ちょうちん」に入ったはずです。
そこは、炉端焼きの店で、お客さんの目の前に扇型に大量の海産物が平積みされていました。
その海産物の向こうにお店の人がいて、注文すると木製の長いしゃもじのようなもので品物が出されるお店です。
北海道上陸での気持ちの高揚、
函館の夜景を観た感動、
車を運転しなくてもいいという解放感などが相まって、
飲み過ぎてしまったのです。
もちろん、イカソーメンをはじめとする北海の幸の旨さも要因の一つです。
最初にT君が酔いつぶれて、いねむりを始めました。
残されたのはY君とぼくです。
Y君とぼくは、2人で飲み始めると「たち」が悪いタイプです。
2人とも、自分から「もう、やめよう」と言わないタイプです。
新潟市内で飲んだ時には、一晩で日本酒2升4合も飲んだことがあります。
ヘロヘロになるまで止めないタイプで「気を付けなければならない」と自覚するには、
この後、20年くらいの年月が必要でした。
そんな、2人が調子に乗って飲みだしたものだから、あとは、てんやわんやの大騒ぎです。
気付いた時には、青函連絡船出発の15分前。
あたりは真っ暗。
T君を起こし、支払いを済まし、T君を両脇から2人で抱きかかえ、大急ぎで、函館駅に向かいました。
乗船手続きを済ませ、乗ろうとした直前、
「おい!荷物!」
そうです。
3人とも駅構内にあるコインロッカーに預けていた荷物を取り忘れていたのです。
係員に事情を話し、T君をその場に残し、T君のロッカーの鍵を体中をさぐって探し出し、Y君と2人で取りに戻ったのです。
係員は、当然、呆れた顔をしていましたが、仕方なく許してくれました。
ぼくたちは、吐きそうになるのを我慢しながら、全力で取りに戻りました。
迷わずに行けたかどうか記憶にはありませんが、連絡船の出発時刻に間に合わなかったことは、事実です。
戻った時には、係員は、もはや呆れ顔ではなく、相当の怒り顔でした。
遠くから
「早くしろ!もう出発するぞ!他のお客さんに迷惑だぞ!」
とまくし立てられたのを鮮明に覚えています。
今なら、お客さんを怒鳴り散らすJR職員の方は、ほとんどいないと思いますが、
当時は、国鉄職員がお客を怒鳴り散らす行為はごく一般的に見られました。
そうです。当時の国鉄職員は怖かったのです。(笑)
何とか、連絡船に乗ることができた時には、ほっとし過ぎて、瞬時に深い眠りについてしまいました。
真夜中の青函連絡船に乗ったわけですが、青森までの船内の記憶は、全くありません。